放射線性腸炎

 子宮頸がんや前立腺がんなどに対する放射線治療後の腸管粘膜の炎症により、下血や便通異常などを起こす病気です。放射線治療後の20%程度に発症するとされ、直腸が好発部位です。放射線治療から2か月以内に出現する早期障害と、治療後数か月から数年経過して現れる晩期障害に分けられ、本例は晩期障害で主訴は下血でした。

放射線性腸炎でみられる下血や便通異常などの症状はほかの病気でもよくみられるため、診断にはがんの既往歴や治療内容、特に放射線治療の有無、照射部位などの問診のほか、腸管内の異常を確認するための内視鏡検査が極めて有用です。

治療は便通コントロールなどの対症療法が中心です。貧血を伴う出血の場合は内視鏡治療(アルゴンプラズマ凝固法)が必要になります。強い狭窄や瘻孔を伴う場合は外科治療が必要な場合もあります。

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大腸肛門病学会専門医

がん治療認定医